国内FXと海外FXでは同じFXであってもルールが異なる部分があります。
超ハイレバレッジや豪華なボーナスなどはその典型ですが、トレードの禁止事項にも違いがあるのです。
特にアービトラージ(裁定取引)などは国内FXでは特に禁止されていませんが、海外FXでは厳しく取り締まられています。
知らずに行った違反トレードでも利益没収や口座凍結といったペナルティーを受けるリスクがありますので、この記事を読んで、どんな禁止事項があるのか理解を深めてから海外FXにチャレンジしてください。
海外FXの禁止事項(違反トレード)とは?
海外FXでは業者間でスプレッドに大きな差があります。
また国内FXにはないゼロカットシステムを採用しているため、そういった仕組みを悪用するようなトレードが禁止事項となっています。
各FX業者の公式サイトの下の方に「利用規約」についての項目がありますので、利用するFX業者の利用規約には事前に必ず目を通して確認するようにしましょう。
海外FXを利用していて「出金拒否になった」、「口座が凍結された」といったコメントは、だいたいがこの利用規約に違反したトレードを行って利益を上げたのが理由です。
利用規約を読んでもよくわからない場合は、サポートセンターにメールやチャットをして明確になるまで確認するのがいいでしょう。

アービトラージと両建て
禁止事項として知らずに行ってしまうものにアービトラージと両建てがあります。
まずはこちらについて詳しく解説をしていきます。
アービトラージはほとんどの海外FX業者で禁止
アービトラージ(裁定取引)とは、通貨ペアの業者間の価格差やスワップポイントの差などを利用して稼ぐ手法のことで、「サヤ取り」とも呼ばれています。
海外FXの場合、業者によってスプレッドに大きく差があり、レイテンシー(為替レートの提示の遅延)を利用してトレードすることで利益を上げることが可能です。
例えば、米ドル/円の為替レートが、A社で買い1ドル146.50円、B社で売り1ドル146.80円だった場合、A社の買いポジションとB社の売りポジションを同時に行えば0.3円の利益です。
これでも1Lot(10万通貨)だと3万円の利益になります(ただし、どちらの業者でも同時に決済を行うのでスプレッドの分だけ損失もある)。
為替レートに大きく差がついた時だけを狙ってスキャルピングを行うので、チャート画面に貼り付いていなければチャンスをすぐに見逃しますが、他社の為替レートを比較しながら我慢強く粘れば安定して稼げます。
他にも複数のFX業者の買いのスワップポイントと売りのスワップポイントを調べて、プラスになるように両建てするのもスワップアービトラージと呼ばれています。
また、ボーナスを利用して他社の口座と両建てすることにより、為替相場がどちらに大きく動いても片方はボーナスを失いロスカットになるだけですが、片方はさらに大きく利益を伸ばすことができます。
海外ではこのようなアービトラージはほとんどのFX業者で禁止していますので注意が必要です。
情報は共有されているのですぐ発覚する
別々のFX業者を利用した手法だからバレるはずはないと考えがちなのですが、トレードツールがMT4で共有されていますので調査がしやすく、また、FX業者が情報を共有しているため、おかしなトレードを行って利益を上げている場合はすぐに発覚します。
グループを組んでアービトラージを行うケースもありますが、こちらも注意深く調査されているので必ず発覚します。

同一口座での両建てはOK
ただし、同一口座で両建てすること自体は禁止されていません。
両建てというのは、同一の銘柄の買いのロングポジションと売りのショートポジションを同じ量保有することです。
同じタイミングで決済するとスプレッドの差の分だけ損失が生まれますので、あまり得策ではありません。
為替レートが上昇するのか下降するのかという転換期で判断がしにくく、両建てし、強いトレンドの発生した方だけ保有して利益を上げるという手法がありますが、こちらの手法はまったく問題はありません。
別々の口座での両建ては禁止
海外FXでは、同一のFX業者で複数のアカウントを保有することができます。
別々の口座で両建てすることもできるわけです。
すると片方の口座は証拠金がマイナスになってゼロカットされても、片方の口座はそれ以上に利益を上げることができます。
これはゼロカットシステムの悪用に該当するのでほとんどのFX業者で禁止しています。
同一口座では両建て可能ですが、複数口座での両建ては禁止ということを覚えておきましょう。
その他の違反トレード
その他の違反トレードについては、「特定のシーンだけを狙っているトレード」です。
例えば、キングオブ経済指標と呼ばれるアメリカの雇用統計の発表前後は為替レートが大きく変動します。
トレーダーにとっては願ってもないチャンスですから、雇用統計発表直後にトレードしてはいけないという規約はありませんが、そこだけを狙ってトレードするのは禁止されています。
FX業者はいつ誰がどれだけの量のトレードをしているのか把握できていますので、こういった特定のシーンだけ狙ってトレードしているのかどうかはすぐに発覚するのです。
週明けに「窓開け」や「窓埋め」といった為替レートの変動がありますが、こちらも同様にここだけ狙ってトレードするのは禁止されています。
他の時間帯でも同じくらいの量のトレードをしていればまったく問題ありません。
スキャルピングは許可されているのか?
FXのトレードスタイルの一つに、超短期売買を繰り返す「スキャルピング」があります。
国内FXでは表だってスキャルピングを禁止にはしていませんが、それはトレードツールがMT4ではなく、EAが利用できないからです。
EAによる自動売買取引のスキャルピングは禁止されています。
それでは海外FXではどのような対応になっているのか解説していきましょう。
許可している海外FXの業者もある

海外FXの業者にはスキャルピングをはっきりと許可しているケースがあります。
この場合は自動売買取引でのスキャルピングも問題ありません。
注意しなければいけないのはスキャルピングがグレーゾーンになっているような業者です。
裁量トレードでのスキャルピングは基本的には問題ないのですが、EAを利用すると膨大な取引を数秒の中で行われるので、業者側のカバーが遅れて業者側に損失が出たり(DD方式の業者やアカウント)、サーバーの執行能力を妨げて他のトレーダーに悪影響を与える可能性があるので禁止している可能性が高いです。
利用規約を事前にしっかりと確認して、スキャルピングについて「極端なトレードは控えてください」と記載されているFX業者では、EAを利用したスキャルピングはやめておいた方がいいでしょう。
明確に禁止している海外FXの業者もある
アービトラージや複数口座での両建てはもちろんのこと、スキャルピングについても利用規約の中で明確に禁止しているFX業者は海外にもあります。
エントリーから何秒間で決済するとスキャルピングなのかという定義は特にありませんので、どこまでの短期売買がOKなのか判断の難しいところですが、スキャルピング禁止となっている以上はデイトレードやスイングトレードといった中・長期売買に利用した方が無難です。
違反トレードをしてしまったらどうなるの?
違反トレードをしてしまって、FX業者から警告メールが届いたり、ペナルティーを課せられるとどのようになってしまうのか解説していきます。
利益没収(出金拒否)
警告メールであればイエローカードのようなものなので、今後注意していけば最悪の状況は回避できます。
警告を無視して同じようなトレードスタイルを継続していると、トレードで得た利益が没収されます。
出金拒否も同様の対応です。
海外FXをしていて出金拒否されたという話を耳にしたことがあるかもしれません。
その理由の大部分が知らずに違反トレードを繰り返していたというものです。
中には悪徳業者が混じっていて、出金拒否されたというケースもあるでしょうが、圧倒的に多いのは利用規約から逸脱したトレードをしていたためです。
利益が没収されたり、出金が拒否されて、その理由が不明確な場合はFX業者のサポートセンターに連絡して確認してみてください。
困った事態に陥った場合、頼れるのはサポートセンターしかありませんので、日本人スタッフがいる、または日本語に精通しているスタッフがいて対応してくれるFX業者を選ぶことも大切になります。
口座凍結
FX業者によってはアカウントをしばらく放置しておくと自動的に休眠状態になるケースがあります。
休眠状態になると口座管理維持費が有料になるものの、口座休眠は入金したり、トレードを再開することで回復することが可能です。
問題は違反トレードのペナルティーで口座凍結となってしまった場合です。
休眠と凍結はまったく異なります。
口座凍結となると、出金できないだけでなく、入金もできませんし、トレードもできません。

口座凍結になった際の対処法
口座凍結はトレーダー側からすると最悪の事態です。
しかもこの口座凍結の対処法はありません。
入金したら凍結が解けるといったことはないのです。
口座凍結になるということは二度とそのFX業者で口座を開設できないことを意味しています(改めて新規で口座を開設しようとしても審査を通過できません)。
ですからこの場合の対処法は、口座凍結となったFX業者を諦めて、他のFX業者を探すことしかないのです。
せっかく相性の良いFX業者に巡り会えたのに、ルールを知らなかったばかりに、二度と利用できなくなるのはとても残念な話です。
ですから利用規約をしっかり読んで、どんなトレードが違反トレードに該当するのか理解しておくことがとても重要なのです。
まとめ
国内FXと海外FXではレバレッジやボーナス、トレードツールから入出金方法まで大きく異なります。
これは利用規約・ルールにも該当する話です。
超ハイレバレッジでハイリターンを得ることに成功しても、口座凍結となってしまってはすべて無駄になってしまいます。
そうならないようにルールを守って信頼できるFX業者でトレードをするようにしましょう。
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